COLUMNコラム

2026/02/19

インプラント治療の流れ

インプラント治療を考え始めると、

「治療はどのような順番で進むのか?」

「手術は何回必要なのか?」

「完了までにどれくらいの期間がかかるのか?」

といった疑問を持つ方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

インプラントは、歯を失った部分を補う治療の中でも、精密検査から治療計画、外科処置、被せ物の装着までを段階的に行う治療法です。

そのため、あらかじめ治療の流れを理解しておくことが、安心して治療に臨むための大切なポイントになります。

本章では、初診から治療完了までの一連の流れに加え、CT検査を用いた診断の重要性や、1次手術・2次手術の違いについて解説します。

また、近年関心が高まっている即日インプラント(即時荷重)や抜歯即時埋入についても詳しくご紹介します。

初診から完了まで|インプラント治療の全工程を解説

インプラント治療は、失った歯を補うための選択肢の1つの治療法で、初診から治療完了まで、いくつかの重要なステップを段階的に進めていきます。

ここでは、一般的なインプラント治療の流れを詳しく解説します。

 

STEP1 初診・カウンセリング

最初に行うのが、現在のお口の状態やお悩みを確認するカウンセリングです。

「いつ歯を失ったのか」「痛みや腫れはあるか」「過去の治療歴」などを丁寧にヒアリングし、インプラント治療が適しているかどうかを判断します。

この段階では、ほかの治療の概要や選択肢についても説明が行われ、不安や疑問を解消することが目的です。

 

STEP2 精密検査(CT・レントゲン・口腔内検査)

次に、CT検査やレントゲン撮影、歯ぐきや噛み合わせのチェックなどの精密検査を行います。

この精密検査で顎の骨の量や質、神経や血管の位置を立体的に把握することで、精度の高いインプラント治療計画を立てることが期待できます。

 

STEP3 治療計画の立案・説明

検査結果をもとに、インプラントの本数、埋入位置、治療期間、費用などを含めた具体的な治療計画が立案されます。

治療の流れやリスクについて十分な説明を受け、納得したうえで治療を進めることが大切です。

 

STEP4 インプラント1次手術

治療計画を元に、顎の骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込む手術を行います。

局所麻酔下で実施されることが多く、手術時間は症例にもよりますが比較的短時間です。

 

STEP5 治癒期間

手術後は、インプラントと骨がしっかり結合するまでの治癒期間を設けます。

この期間は数か月程度が一般的で、インプラント治療の安定性を左右する重要な工程です。

 

STEP6 上部構造(被せ物)の装着

顎の骨とインプラント体の結合が確認できたら、被せ物を装着して噛み合わせのバランスを確認します。

見た目の自然さだけでなく、噛み合わせや機能面の改善も見込めます。

 

STEP7 メンテナンス・定期管理

治療完了後も、インプラントを長持ちさせるために定期的なメンテナンスが大切です。

 

CT検査・診断の重要性|なぜ精密検査が必要なのか

インプラント治療では、事前に行うCT検査を行うことで、精密な治療計画を立案することにつながります。

インプラントは顎の骨の中に人工歯根を埋め込む外科治療であり、目に見えない骨や神経の状態を的確に把握することが、成功率を左右するポイントになります。

 

・CT検査で確認する主なポイント

CT検査では、次のような重要な情報を立体的に確認します。

 

顎の骨の厚み・高さ・質

インプラントを安定させるために、十分な骨量があるかを診断します。

 

神経や血管の位置

下顎には太い神経が通っており、位置を的確に把握せずに手術を行うと、しびれや感覚異常といったリスクが生じる可能性があります。

 

埋入予定部位のリスク診断

骨の密度や傾き、周囲組織との関係を総合的に確認し、インプラントをどの角度・深さで埋入するかを決定します。

 

・レントゲン検査との違い

通常のレントゲンは平面的な画像のため、骨の厚みや立体的な位置関係までは的確に把握できません。

一方、CT検査では3次元画像で立体的に確認できるため、より精度の高い治療計画を立てることが期待できます。

 

精密診断が不十分な場合のリスク

十分な検査を行わずに治療を進めてしまうと、

・インプラントが骨と十分に結合しない

・噛み合わせの不具合による長期的なトラブル

・神経損傷によるしびれ

 

などにつながる恐れがあります。

 

そのため、CT検査を含む精密診断は、インプラント治療の成功率を高め、トラブルを防ぐための重要な工程と言えます。

インプラント治療を安心して受けるためには、「どのような検査を行い、どんな診断結果だったのか」をしっかり説明してくれる歯科医院を選ぶことも大切です。

 

1次手術と2次手術 2回法インプラントの詳細

インプラント治療にはいくつかの術式がありますが、その中でも基本となるのが「2回法インプラント」です。

2回法とは、インプラント体を埋入する手術と、土台になるアバットメントという部分を取り付ける工程を2段階に分けて行う方法です。

1次手術とは

1次手術では、顎の骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込む処置を行います。

局所麻酔下で行われるため、治療中の痛みはほとんどなく、手術時間は症例にもよりますが、1本のインプラント埋入で骨が十分にあれば、30分から1時間程度が一般的です。

歯ぐきを切開し、専用の器具で骨にインプラントを埋入した後、インプラント体が外部から見えないように歯ぐきを縫合します。

この工程によって、インプラントは口腔内の細菌が触れにくい状態となり、骨との結合(オッセオインテグレーション)が安定して進みやすくなります。

1次手術後は、インプラントと顎の骨がしっかり結合するまで、2〜6か月程度の治癒期間を設けます。

この期間は、インプラントの長期安定性を左右する重要な時間です。

 

2次手術とは

2次手術では、治癒期間を経て骨との結合が確認された後、歯ぐきを少し切開してインプラントと被せ物をつなぐ土台のパーツ(アバットメント)を装着します。

処置は短時間で終わることが多く、麻酔量も1次手術より少なく済むケースが一般的です。アバットメント装着後、歯ぐきの形が整うのを待ってから、最終的な被せ物(上部構造)を装着します。

 

2回法が選ばれる理由

近年では、骨や歯ぐきの状態が良好な場合、1回の手術で完結する「1回法インプラント」が選択されることもあります。

しかし、2回法は、

・感染リスクを抑えやすい

・骨との結合をしやすい環境

・難症例にも対応しやすい

 

といったメリットがあり、一般的な症例の基本となる術式です。

特に、骨量が少ない場合や、歯周病の既往がある場合には、2回法が選択されることが多くなります。

インプラント治療では、「早さ」だけでなく「長期的に安定して使えるかどうか」が重要です。

そのため、患者様一人ひとりの状態に合わせて、1回法・2回法を適切に診断することが求められます。

 

即日インプラント(即時荷重)とは?メリットと適応条件

即日インプラント(即時荷重)とは、インプラントを埋入した当日、または数日以内に仮歯を装着する治療法です。

通常のインプラント治療では、骨との結合を待ってから被せ物を装着しますが、即時荷重では早い段階で歯の形を回復できる点が特徴です。

即日インプラントのメリット

即日インプラントには、以下のようなメリットがあります。

 

・手術当日から見た目を回復できる

特に前歯部では、歯がない期間を作らずに済むため、審美的なストレスを軽減できます。

 

・仮歯があることで日常生活への影響が少ない

会話や口元の印象が保たれ、社会生活への支障を抑えられます。

 

・治療回数・治療期間を短縮できる可能性がある

条件が整えば、複数の工程をまとめることができ、通院回数の軽減につながります。

 

ただし、仮歯はあくまで治癒期間中の歯であり、強く噛むためのものではない点を理解しておく必要があります。

 

適応条件 即日インプラントは誰でも適用できるわけではない

即日インプラントはメリットが多い一方で、適応条件が厳しい治療法です。

まず重要なのが、顎の骨の量・質が十分にあることです。

骨が薄い、柔らかい場合は、インプラント埋入直後の安定性(初期固定)が得られにくく、即時荷重には向きません。

次に、インプラントがしっかりと初期固定を得られることが必須条件です。

初期固定が不十分な状態で仮歯に力が加わると、骨との結合が阻害され、脱落リスクが高まります。

 

さらに、即日インプラントでは噛み合わせや顎関節への配慮が重要です。

・噛み合わせの力が強すぎないか

・顎関節に過度な負担がかからないか

・左右のバランスが崩れていないか

 

といった点を精密に評価し、仮歯の高さや接触を細かく調整する必要があります。

特に、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方や、顎関節症の既往がある方では、即日荷重が顎関節トラブルを悪化させる可能性もあるため、慎重な判断が求められます。

 

精密診断が大切

即日インプラントは、「早く歯が入る治療」ではなく、骨・噛み合わせ・顎関節まで含めて総合的に設計された治療です。

CT検査による骨の評価に加え、噛み合わせ分析や顎の動きまで考慮した精密診断を行ったうえで、初めて選択できる治療法と言えます。

 

抜歯即時埋入 歯を抜いた当日にインプラントを入れる方法

抜歯即時埋入とは、歯を抜歯したその日に、同じ部位へインプラントを埋入する治療法です。

通常は、抜歯後に歯ぐきや骨の治癒を待ってからインプラントを行いますが、条件が整えば、抜歯とインプラント手術を同日に行うことが可能です。

この方法は、治療期間の短縮や外科処置の負担軽減が期待できる一方、適応の判断が重要な治療法でもあります。

 

抜歯即時埋入のメリット

 

顎の骨の吸収を抑えやすい

抜歯後は時間の経過とともに徐々に骨が吸収されやすくなります。

抜歯直後にインプラントを埋入することで、骨の形態を維持しやすくなります。

 

治療期間を短縮できる可能性がある

抜歯後の治癒期間を待たずに次の工程へ進めるため、全体の治療期間を短くできるケースがあります。

 

外科処置の回数を減らせる

抜歯とインプラント手術を同日に行うことで、手術回数を減らすことができる場合があります。

 

特に、前歯部など審美性が重要な部位では、歯ぐきや骨の形を保ちやすい点もメリットです。

 

適応条件 誰にでもできる治療ではない

一方で、抜歯即時埋入はすべての症例に適応できるわけではありません

適用するためには以下のような条件を満たす必要があります。

 

抜歯部位に感染がないこと

根の先に膿が溜まっている、炎症が強い場合は適応外となります。

 

歯周病が重度でないこと

周囲の骨が大きく失われている場合、インプラントの安定性が確保できません。

 

骨の形態・量が適していること

抜歯後の穴(抜歯窩)の形や骨壁が保たれている必要があります。

 

これらの条件を満たさない場合、無理に抜歯即時埋入を行うと、インプラントの脱落や長期的なトラブルにつながる恐れがあります。

 

即日インプラントとの違いと注意点

抜歯即時埋入は、「抜歯と同日にインプラントを入れる」ことを指し、即日インプラント(即時荷重)は、「早期に仮歯を装着する」ことを意味します。

この2つはは混同されがちですが、目的と条件は異なります。

いずれの場合も、「短期間で治療できる・誰でも可能」ではない点が重要です。

CT検査を含む精密診断を行い、骨・歯ぐき・噛み合わせ・感染リスクを総合的に評価したうえで、慎重に判断される治療法と言えます。

 

インプラント治療にかかる期間 ケース別スケジュール

インプラント治療は、症例や口腔内の状態によって治療期間が大きく異なりますが、代表的なケースごとに治療期間の目安を解説します。

一般的なインプラント治療の場合

治療期間の目安 3〜6か月程度

標準的なケースでは、1次手術でインプラント体を埋入した後、顎の骨とインプラントがしっかり結合するのを待つ治癒期間が必要です。

 

即日インプラント・抜歯即時埋入の場合

見た目の回復 手術当日〜数日以内

最終的な被せ物の完成 3〜4か月程度

 

即日インプラントや抜歯即時埋入では、条件が整えば手術当日から仮歯を装着できるため、早い段階で見た目を回復できます。

 

治療期間は、骨の状態、全身の健康状態、噛み合わせによって大きく変わります。

「早さ」よりも「長期安定」を重視した計画が重要です。

 

【まとめ】

インプラント治療は、精密検査、適切な治療計画、状態に合わせた術式選択、術後のメンテナンスが揃ってこそ、長期的に安定します。

即日インプラントや抜歯即時埋入など、治療期間を短縮できる選択肢もありますが、適応診断が必要です。

まずは信頼できる歯科医院で、丁寧な診断と説明を受けることが、後悔しないインプラント治療のポイントになります。

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