COLUMNコラム

2025/09/05

インプラントの基礎知識

歯を失った際の治療法の選択肢として、近年よく耳にするようになったのがインプラント治療です。

「入れ歯やブリッジと何が違うの?」

「本当に自分の歯のように噛めるの?」

といった疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

 

インプラントは、失った歯の見た目を補うだけでなく、噛む力の回復や噛み合わせの安定、周囲の歯の負担軽減まで考えられた治療法です。

しかし、メリットだけに注目して十分な知識がないまま治療を選んでしまうと、「思っていた治療と違った」と感じる原因になることもあります。

そこで本章では、インプラントとはどのような治療なのかをテーマに、基礎を解説していきます。

インプラントの構造や仕組みをはじめ、入れ歯・ブリッジとの違い、治療法としての歴史や技術の進歩、さらにはメーカーごとの特徴まで、初めての方にも理解しやすい内容をまとめました。

 

1 インプラントとは?構造と仕組みをわかりやすく解説

インプラントとはどのような治療法?

インプラントとは、歯を失った部分の顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に被せ物(人工の歯を)装着する治療法です。

ほかの治療法の入れ歯やブリッジのように、周囲の歯に負担をかけることなく、噛む機能を回復できる点が大きな特徴といえます。

 

単に歯の見た目を整えるだけでなく、「天然歯のような噛み心地」「噛み合わせの安定」「顎の骨への刺激」まで考慮された治療法で、歯を失った時の選択肢として選ばれることが増えています。

 

インプラントの基本構造

インプラントは、主に3つのパーツから構成されています。

 

インプラント体(人工歯根)

インプラント体とは、インプラント治療において失った歯の「根」の代わりとなる重要なパーツです。

顎の骨の中に直接埋め込まれ、人工歯をしっかり支える土台の役割を果たします。

主にチタンが使用されており、骨とのなじみが良く、体への親和性が高い素材として実績があります。

 

アバットメント

インプラント体と、上に装着する被せ物をつなぐ連結部分です。

噛み合わせや歯の位置に合わせて形状を調整し、機能性と見た目のバランスを整えます。

 

上部構造(被せ物)

実際にお口の中で見える人工歯の被せ物の部分です。

セラミックなどの素材が使われることが多く、天然歯に近い色調や形態を再現できます。

 

天然歯に近い噛み心地を生む仕組み

インプラント治療の大きな特長は、インプラント体が顎の骨と直接結合する仕組みにあります。

インプラント手術後、時間が経過すると、人工歯根と骨がしっかり結びつく「オッセオインテグレーション(骨結合)」という現象が起こります。

そうすると、噛んだ時に安定している、ぐらつきにくいといったメリットがあります。

そして、しっかり噛みやすく、食事の満足度や日常生活の快適さにつながります。

 

2 インプラント・⼊れ⻭・ブリッジ 3つの治療法を徹底⽐較

歯を失ったときの治療法として、現在主に選択されているのがインプラント・ブリッジ・入れ歯の3つの治療です。

それぞれ仕組みや特徴が異なり、噛み心地・見た目・周囲の歯への影響・長期的な安定性に大きな違いがありますので、3つの治療法を比較しながら解説します。

インプラント 失った歯を根の部分から再現する治療

インプラントは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に歯を装着する治療法です。

歯を失う前の状態に近い構造を再現できることが特徴です。

 

【特徴】

・周囲の歯に負担をかけることがなく、健康な歯を削る必要がない

・噛む力が強く、天然歯のような噛み心地を実感しやすい

・見た目が自然で、違和感が少ない

噛み合わせのバランスを保ちやすく、長期的な使用を前提とした治療として選ばれるケースが増えています。

 

ブリッジ 両隣の歯を支えにする固定式治療

ブリッジは、失った歯の両隣の歯を削り、橋をかけるように被せ物を固定する方法です。手術を伴わない点がメリットですが、構造上の注意点もあります。

 

【特徴】

・保険適用になるケースがある

・治療期間が比較的短い

・外科手術が不要

・支えにする健康な歯を削る必要がある

 

保険適用ができるケースがあり、費用を抑えて固定式の治療にしたい方に選ばれることがあります。

 

入れ歯 取り外して使える歯の治療法

 

入れ歯は、取り外し式の人工歯で、部分入れ歯・総入れ歯に分かれます。

保険適用ができ、比較的製作期間も短い方法のため、比較的導入しやすい治療法ですが、使用感には個人差があります。

 

【特徴】

・保険適用もできるため、費用を抑えやすい

・数本の歯を失った場合や全て歯を失った場合など、幅広い症例に対応できる

・外科手術が不要

・噛む力が弱くなりやすい

・装着時の違和感やズレを覚えることがある

・食事や会話の際に外れやすいことがある

 

といった点が課題になる場合があります。

 

3つの治療法を比較して見えてくる違い

3つの治療法を比べると、噛む力・安定性・周囲の歯への影響に差があることがわかります。

 

・噛む力や快適性を重視したい

・健康な歯をできるだけ守りたい

・長く安定して使える治療を選びたい

 

と考える方にインプラント治療が選ばれることがあります。

治療を選択する時は、ご自身のライフスタイル・お口の状態・将来を見据えた選択がとても重要です。

 

3 なぜインプラントは「第二の永久歯」と呼ばれるのか

インプラント治療は、失った歯の「見た目」だけを補う方法ではありません。

人工歯根を顎の骨に埋め込み、歯の根の部分から再構築する治療法であることが、大きな特徴です。

このように、構造・機能・安定性の面で天然歯に近いことから、インプラントは「第二の永久歯」と表現されることがあります。

 

インプラントが「第二の永久歯」と呼ばれる3つの理由

  • 天然歯に近い噛む心地を実感しやすい

 

顎の骨に直接支えられるインプラントは、噛む力が歯ぐきだけにかかる入れ歯と比べて安定しています。

硬い食べ物も噛めるため、食事の満足度や咀嚼効率が高い点も、天然歯に近いといわれる理由のひとつです。

 

  • 見た目が自然で違和感が少ない

 

人工歯には、色や形を細かく調整できる素材が使われるため、周囲の歯と調和しやすく、見た目がとても自然です。

笑ったときや会話の際にも違和感が出にくく、審美性を重視する方にも選ばれています。

 

  • 顎の骨にしっかり固定される

 

インプラントは、顎の骨の中に人工歯根を埋入し、時間をかけて骨と結合させます。

この結合によって、天然歯と同じように骨に支えられた構造が得られます。

そのため、グラつきが少なく、自分の歯に近い感覚で使えるのが特徴です。

 

長期使用が期待できる治療法

 

インプラントは、適切なセルフケアと定期的なメンテナンスを続けることで、10年、20年以上にわたって使用できることも少なくありません。

この長期的な安定性と機能性こそが、インプラントが「第二の永久歯」と呼ばれる理由です。

 

4 インプラントの歴史と進化 50年にわたる技術革新

インプラント治療は、1960年代頃に始まりました。

当初はまだ研究段階の治療法でしたが、技術の発展とともに、現在では確立された歯科治療のひとつとして世界中で広く行われています。

この約50年以上の間に、インプラントは「試行錯誤の治療」から予測性の高い医療技術へと大きく進化してきました。

 

インプラント技術進化の主なポイント

・CT・デジタル技術による精密診断と治療計画

現在のインプラント治療では、CT撮影やデジタルシミュレーションを用いて、「骨の厚みや質」、「神経や血管の位置」、「埋入角度や深さ」を事前に詳細に把握することが可能です。

 

そのため、手術の精度が高まり、リスクを抑えた、計画性の高い治療が実現しています。

 

現在のインプラント治療が目指すもの

こうした技術革新の積み重ねにより、現在のインプラント治療は成功率90%以上ともいわれる水準に達しています。

かつてに比べて、患者様の負担が少なく、治療結果の予測が立てやすい点がインプラントは「特別な治療」から「選択肢のひとつ」として多くの方に選ばれる治療法へと進化しました。

 

5 インプラントのメーカー比較|国産と海外ブランドの違いとは

インプラント治療で使用されるインプラント体(人工歯根)には、国内外を含めて数多くのメーカーが存在します。

これらは大きく「国産インプラントメーカー」「海外インプラントメーカー」の2つに分けて考えることができます。

それぞれに特徴や強みがあり、治療の目的や患者さんの条件によって、適したメーカーは変わってきます。

 

国産インプラントメーカーの特徴

国産インプラントは、日本国内の歯科医療環境や日本人の骨格を想定して開発されている点が特徴です。

 

1 日本人の骨格に配慮した設計

日本人は欧米人と比べて、顎の骨が薄い・小さい傾向があるとされています。

国産インプラントは、こうした骨格的特徴を考慮したサイズ展開や形状が多く、症例によっては適合しやすい設計となっています。

 

2 国内供給が安定している

製造・流通の拠点が国内にあるため、製品供給が安定しており、万が一のトラブル時にも対応しやすい点が安心材料です。

 

3 パーツや補修部品が入手しやすい

長期使用を前提とするインプラント治療では、将来的な修理や部品交換への対応も重要です。

国産メーカーの場合、パーツの供給停止リスクが比較的低く、長期メンテナンスの面で安心感があります。

 

海外インプラントメーカーの特徴

海外インプラントメーカーは、世界中で使用されている実績と研究データの豊富さが強みです。

 

1 世界規模での豊富な臨床実績

海外メーカーの多くは、欧米を中心に長年にわたって世界中で使用されており、症例数・導入実績が非常に豊富です。

多様な症例に対応してきた経験が、製品改良や設計に反映されています。

 

2 長期的な臨床データが充実している

10年・20年以上の経過を追った研究データが多く、長期安定性に関するエビデンスが蓄積されています。

これは、治療結果の予測性を高める重要な要素です。

 

3 グローバル基準の品質管理

国際的な規格や厳格な品質管理基準に基づいて製造されている点も特徴です。

世界共通の基準で評価・改善が行われているため、安定した品質が期待できます。

 

メーカー選びで大切なポイント

インプラントメーカーには、それぞれ異なる強みがあります。

大切なのは、骨の量や質、審美性の要求、骨の量や質、将来的なメンテナンス体制といった条件を踏まえて「その症例に適したインプラントメーカーを選択すること」です。

 

メーカー選びは歯科医師の経験や診断力が大きく関わる部分でもあるため、十分な説明を受けたうえで、納得して治療を進めることが大切です。

 

【まとめ】

インプラント治療は、天然歯に近い構造と噛み心地を再現できて、入れ歯にはない安定性があります。

また、ほかの歯に負担をかけず、ブリッジのように両隣の歯を削ることもありません。

 

このようにメリットの多い治療ですが、すべての方に無条件で適応できるわけではないため、顎の骨の量や質、全身の健康状態、生活習慣などによっては、治療方法を慎重に検討する必要があるケースもあります。

 

だからこそ大切なのは、「インプラントが本当に自分に合った治療なのか」を正しく理解したうえで判断することです。

少しでも疑問や不安がある場合は、精密検査やカウンセリングを通じてお口の状態を詳しく確認し、治療内容やリスクについて十分な説明を受けたうえで検討しましょう。

納得して選んだ治療こそが、長く安心して使えるインプラント治療の大切なポイントになります。

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